颪の意味 登山用語

颪(おろし)

颪とは、冬期に山から平野部に吹き下ろしてくる冷たい風のことであり、太平洋沿岸の地域で颪と呼ばれる。

颪の発生メカニズムは、シベリア高気圧によって吹きだされた季節風が日本海を渡る時に水蒸気を吸いこみ、その風が日本海側の山脈にぶつかり上昇気流になる。そして日本海側に雪を降らせたこの風は山越えした後は乾いた冷たい風となって、太平洋側の平野部に颪となって吹き下ろすのである。日本列島は列島の中心に山脈があり、北から南まで一連の山脈となって途切れることなくそびえているため、太平洋側に颪が多いのはそういう理由からである。

颪に限らず強風は登山においては危険な状況にもなるので注意が必要である。森林限界を超えた辺り、樹木が正常に生育していない地帯、その個所だけ雪が吹き飛ばされて積雪していない、といったところは人間が強風で吹き飛ばされることもある。独立峰(富士山など)と山岳地帯では風の動きが異なるので、事前に情報を確認し、場合によっては登山を中断することも大事である。