餓鬼の田圃の意味 登山用語

餓鬼の田圃(たきのたんぼ)

餓鬼の田圃とは、山中にある湿原のこと。餓鬼の田圃というと、立山の弥陀ヶ原の湿原のことである。立山の火山活動によって形成された地形で、立山には地獄谷、ミクリガ池、血の池などがあり、それらの景色と地形と相まって湿原地は餓鬼の田圃と呼ばれるようになったという。

弥陀ヶ原には大小合わせて3000個もの池塘があり、水底や周辺に生えている植物が、早稲を植えた水田に似ていることから、人々は、この立山の地獄に落ちた餓鬼が飢えを凌ぐために耕作している水田だと考えたと言われる。立山は立山連峰と言われ、神々しい姿、地獄谷の存在、湿原の存在、岩石の存在などすべてが日常生活にはない世界であり、それが人々の想像力と信仰心と結び付けられたのである。

立山は立山信仰の中心となり、霊山とされ、修行の舞台になった。餓鬼の田圃は立山曼陀羅に描かれているという。湿原のことを餓鬼の田圃と呼ぶのは、立山の弥陀ヶ原だけである。弥陀ヶ原は木道が整備されており、その上を歩くことができるようになっている。