笠雲の意味 登山用語

笠雲

笠雲とは、レンズ雲の一種であり、山頂付近に表われ、笠をかぶったように見えることから笠雲と呼ばれている。湿気を含んだ大気が山頂付近を通過するとき、山頂付近からの上昇気流によって、水蒸気が凝結して雲になる。下降気流の部分ではその水蒸気が温度上昇によって蒸発して消滅する。

遠くから見た様子では静止しているように見えるが、実際には山頂付近では強風が吹いているのである。低気圧や前線の通過にともない、温かくて湿った空気が流れ込んでくることから起きる現象で、日本のみならず世界各地の観天望気で、悪天候の前兆として認識されている。日本では富士山で見られる笠雲が有名だが、地元の人によると「富士山が笠をかぶれば近いうちに雨」ということわざがある。

笠雲はその形によって、ひとつ笠、にかい笠、かいまき笠、はなれ笠といった名前が付けられている。笠雲と吊し雲が見られると、上空が山岳波と呼ばれる現象が起きていることを視覚的に確認できる。山岳波とは航空機では乱気流と呼ばれ、航空機事故につながるとして危険とされている。