滑落の意味 登山用語

滑落

滑落とは、氷雪上を登山中あるいは下山中に滑り落ちるさまが本来の滑落の意味である。しかし、最近では未積雪状態の地面であっても滑り落ちることや、崖などから落ちることも、すべて滑落と言い表わされることが多い。

険しい山であればともかく、難易度が高くない山やコースであっても、滑落して命を落とす人が少なくない。自分は気を付けているから大丈夫、と思っているつもりでも、ちょっとした油断や体調状態、疲労状態、登山装備の不備などで滑落の危険性は高まる。本来の意味が氷雪上とあるように、雪上や氷上では滑り止めのためにアイゼンを装着していても十分ではなく、「滑落停止技術」を習得するのが望ましい。

この技術には2通りある。「滑落初期停止技術」は転倒した瞬間あるいは滑落初期段階から5m以内に、ピックと足で体を止める技術である。5mを経過すると加速度が増して、止めることが難しくなるので、加速する前に止める、という方法である。これはピックが刺さりにくいアイスバーン以外の雪質上では有効な技術である。

もう1つは「反転式滑落停止技術」であり、ピックが刺さりづらいようなかなり厳しいアイスバーン上では、この技術が有効になるが、こちらも加速前にこの方法を行わないと、体を止めることが難しくなる。

このようにして、滑落から体を止めた後はすぐに自らの安全確保を行う。ただし、その場からいつでも滑落の危険性があることも忘れない。なお、滑落と似たような意味に「転落」があるが、こちらは文字通り、斜面を転がり落ちることである。