茅戸の意味 登山用語

茅戸(かやと)

茅戸(かやと)とは、すすきが茂った尾根や山腹のことを表わす。茅戸という言葉はは主に登山者の間で使われ、「茅戸の中の登山道」という場合、斜面がなだらかで日当たりの良い場所を指すことが多い。

山腹や尾根にあるので、茅戸の中を、草をかき分けて歩くことになる。なお、「茅」とは茅葺き屋根に使われる材料となる草の総称のことで、すすき、葦(よし)などのイネ科の多年草の草が使用される。茅葺き屋根は、断熱性、保温性、雨仕舞、通気性、吸音性といった機能性を持っており、現代の建築技術でもっても茅葺き屋根を超える技術は出てきていないと言われる。

茅葺き屋根は30〜40年に1度に割合で、茅を敷きかえる必要があり、手間がかかること、職人が少なくなっていること、茅を確保しにくくなっていること、といった事情で、次第に少なくなっており、現在では白川郷など、全国でも数えるほどである。なお、イネ科の植物は草刈り、火入れ(野焼き)などが続けられる限りは再生産が可能である。すすきは山地に限らず平地でも見る事ができる。

すすきといえば、関東地方では箱根の仙石原(せんごくはら)がすすき草原として知られている。かつてはカルデラ湖であったが、火山灰土が堆積して湿地になったものである。かつては茅葺き屋根の材料として出荷していた。