疑似好天の意味 登山用語

疑似好天

疑似好天とは、悪天候の中で一瞬だけ好天になることをいう。日本海から太平洋へ2つの気圧が通過する時にこの気象現象が発生する。日本海上で寒冷前線が近づくと南風が山を超えて吹き、寒冷前線がさらに近付くとこの南風は抑えられて停滞し、無風状態になり一瞬好天になる。これが寒冷前線通過前の一時的な気象現象で、疑似好天という。この疑似好天は近づく寒冷前線が強いほど、安定した好天になりやすいのである。この間30分〜1時間とも言われている。

この後、天気が急変し、吹雪や暴風雨などの大荒れの天気になる。この疑似好天にだまされて行動してしまうと、大荒れの天気に巻き込まれて低体温症などの遭難につながる。この寒冷前線と温暖前線の境目には雲堤(うんてい)が見られることがある。この雲堤が見えたら、大荒れの天気になる前兆なので、ただちに近くの山小屋に避難する。近くに山小屋が無かったら、樹林帯などの安全地帯へ避難し、ツェルトやテントなどを設営して、寒気に体をさらさないようにする。最も、天気予報で悪天候になる事は分かるので、その時は登山中止する判断が必要である。