渓畔林の意味 登山用語

渓畔林(けいはんりん)

渓畔林とは、渓流沿いに繁茂している森林のことである。似たような言葉に河畔林があるが、こちらは幅の広い河川の河川敷に繁茂している森林のことである。

渓流沿いの場所は、渓谷の中斜面、上部と比較すると、土壌中の水分や上流から運ばれてくる土砂などで栄養が豊富であるが、渓流沿いに差し込む日射時間が短いため、樹木は光を求めてまっすぐ上に向かって伸びていき、また短い日照時間でも光合成ができるよう、葉が大きく、葉数も大きい。この光合成活動に伴い、蒸散(葉の気孔から水分を発散すること)により、土壌中の水分や栄養分を吸収しているのである。

渓畔林は渓流沿いという地形上、絶えず河川が増水して氾濫する影響を受けるため、森林の世代交代のサイクルが渓谷中斜面や上部に生育している植生に比べると早いのが特徴である。そのため、短期間で成長できる木々が植生し、これらの木々は土壌の安定が悪い場所でも根をしっかりと張って生育できる大木が多い。

また氾濫などで倒木しても、あらたに新しい芽が伸び、次世代の木々が短期間で成長していく。これらの木々は、ヤナギの仲間、サワグルミ、オニグルミ、シオジ、オオバアサガラ(エゴノキの仲間)などがある。