講中登山の意味 登山用語

講中登山(こうじゅうとざん)

講中登山とは、講を作って霊山に詣でること。信仰登山である。講とは霊山に祀られている寺社仏閣へ参詣する信者の団体のことであり、富士講などさまざまである。ここでは富士講を中心に取りあげていくことにする。

富士講が発展する元となったのが、山岳信仰である富士信仰である。平安時代には富士山へ修行のため登る行者もおり、時代とともにその行者は増加していった。次第に富士信仰が庶民の間にも広まり、江戸時代半ばには「講」が結成されるようになる。富士山で修行を積んだ修験者たちが、講を通して富士信仰への信者を募り、富士山詣でを先導したのが、富士講である。この富士講は信仰熱心な信者や登山経験者が中心になって結成され、この富士講は甲州街道を通って富士吉田(山梨県)に向かったのである。

富士吉田で体を休め、精進潔斎してから富士山に登ったと言われている。当時の江戸から富士山まで約100kmの道であり、体の弱い人や女性、お年寄りはそこまで行けなかったため、より近い高尾山薬王院に参拝に訪れる人も多かったと言う。富士講は信仰登山の御一行であり、今日の団体旅行のハシリであるとも言われている。