高所順応の意味 登山用語

高所順応(こうしょじゅんのう)

高所順応とは、すこしずつ高度を上げて高山病の発生を抑えながら、体を高度に慣らしていくことである。高所での酸素濃度は普段生活している平地に比べて3分の1と低いため、誰しもが必ず酸素不足に陥ることになる。

医学的には「酸素濃度の低下による酸素不足に対して、赤血球を増加させることで体内への酸素吸収量を補おうとする人間本来の自己防衛本能」が働くとされる。世界では標高が約5000mの地点でも生活を営んでいる民族がいるが、それより上に住んでいるところはない。医学的にも標高5300m地点が生活できる限界であるという研究結果が出ている。そのことから、登山者の場合は、標高4000〜5000mの地点で入念な高度順化を行うのが良いとされている。8000m峰への登山でも、まずはベースキャンプは5000m地点に設置されることがほとんどである。

そして体内の赤血球の増加率は約3週間で頭打ちになるとされており、3週間かけてベースキャンプから上の高度までの登降を繰り返し、時には休息日を挟みながら、体を順応させていく方法が採用されている。