高度障害の意味 登山用語

高度障害

高度障害とは、標高が高い山は酸素が薄いため、低酸素状態に置かれたときに発生する症状のことであり、高山病と全く同じ意味である。最近は高度障害と呼ばれるようになってきている。

これは、夏の暑い時に起きる症状は日射病、熱射病と呼ばれていたが、安易に軽視されてしまう傾向があった。そこで放置すると深刻な症状になるという啓発の意味から、日中症、熱中症と変更されたのと同じ理由からである。普段は平地(海抜0m〜200mとする)に住んでいるとすると、約1013haの大気圧(実際に体が受けている大気からの圧力)の環境で生活している。

ここから富士山に登山したとする。富士山頂(標高3776mである)の気圧は638haと、一気に375haも気圧が変化するのである。平地ではお湯が沸く沸点は100度であるが、富士山頂では88度と沸点が下がるのである。大気圧が低下すると、空気が膨張して、酸素量が足りなくなるから、少ない酸素でお湯が沸いてしまうのである。

空気を1つの箱としてイメージすると分かりやすい。大気圧が減ったため、箱が膨らんで面積が大きくなっているのに、箱の中の酸素量が変わらずに同じなのである。箱が大きくなれば、酸素量も増加するべきなのだが、酸素量は限られているから増加できないのである。これを酸素量が足りない、というのである。

実際には、標高の高い場所に行くと、体自体は大気圧の変化を感じることはないが、耳の鼓膜が敏感に反応している経験はあるだろう。だが、人間の体は思った以上に環境変化に敏感であり、体が気圧の変化に順応できないと、頭痛、吐き気などの初期症状が表われるようになる。(水槽で飼っている魚が酸素不足になると水面で口をパクパクさせるのと同じ原理である。)しばらくその場所に留まり、体が順応してから、高度を上げるとよい。症状が治まらないようであれば、ただちに高度を下げて下山することである。