強力の意味 登山用語

強力(ごうりき)

強力とは、信仰登山が主流だった時代に、修験者や山伏などの荷物を背負って彼らの後に従って歩く人のことであった。のちには、信仰登山の参拝客の荷物を運ぶ仕事をしたり、一般登山客の道案内をする仕事に従事した。剛力ともいった。

現在は、登山形態が信仰登山からスポーツ登山にとって代わり、装備もコンパクト化・軽量化し登山者自身が自ら背負って歩くようになったため、強力を生業とする人はいない。

一方で、荷物を運ぶ歩荷(ぼっか)の仕事に従事している人はいる。運送手段が発達した現代でも、山への道は険しく人力に頼らざるを得ない場所は、歩荷が活躍している。ヘリでは水や食料を輸送し、下山時にはゴミなどを持って帰っている。かつて富士山や立山で強力が活躍していた時代には、100kgを超える荷物を担いで登る人もいたと言われている。

日本ではもはや強力は存在しないが、ネパールやチリなど、登山客が集中する高峰では、専業ではないが、地元の人を強力として一時的に雇って、荷物を運び上げている。彼らのことをポーターという。