山岳信仰の意味 登山用語

山岳信仰

山岳信仰とは、山を神聖化して崇拝の対象とした信仰である。山とはいってもひと固まりであり、勾配のある土壌や木々、岩などあらゆるものによって構成されたものであるが、山体自体を祀ったのである。

山岳信仰の歴史は古く、縄文時代には始まっていたと言う。縄文時代は狩猟採取の生活であったから、生活の糧を与えてくれる山に感謝と畏敬の念を持っていた。やがて弥生時代になり稲作が始まり農耕文化が始まると、山を神として崇拝するようになった。

やがて山の神は田の神とも見なされるようになった。こうして山岳信仰が時代を経るとともに体系化されるようになったのである。全国各地の山の山腹や山中に神社があるのは、その名残なのである。山岳信仰は自然発生的なものだったのに対し、仏教は7世紀頃(奈良時代)に大陸から伝わってきた。仏教では山岳を修行の場として捉え、真言宗をはじめとする、主要な仏教の総本山は山中にあることが多い。

山岳信仰は日本独自ではなく、世界中でもみられる。一番有名なものはチベット仏教であり、本来はヒマラヤの山々は神聖なる山として登山などは禁忌とされていたのである。今でもネパールでは、エベレストをはじめとするヒマラヤ登山の場合、ネパール政府の許可を得たうえでは無いと登山できない。許可を得た場合は入山料を支払うことになるが、このシステムを採用することで、神聖とみなす山に登山者が殺到することを防いでいるともいえる。