蛇抜けの意味 登山用語

蛇抜け(じゃぬけ)

蛇抜けとは、土砂崩れのこと。長野県木曽地方(南木曽町)では土石流災害を蛇抜と呼んでいる。木曽地方に住む人々は長年、蛇抜に苦しめられてきており、自然への畏れを伝えてきている。特に南木曽町では、気象・地質・地形などの条件が揃っており、蛇抜の常襲地帯でもある。

南木曽町の年間平均降雨量は2500mm、多い年で3500mmである。加えて、花崗岩質の土壌で、傾斜が急な斜面が多く、阿寺断層などによる破壊されやすい層があることから、大雨が降り、あるいは雨が降り続くと、地盤が緩くなり、蛇抜が発生しやすくなり、ひとたび蛇抜が発生すると、木曽川やその支流、低地に向かって流れていくのである。南木曽町には蛇抜の前兆とされる言葉が言い伝えられている。「白い雨が降ると抜ける」「長雨後、谷の水が急に止まったら抜ける」「蛇抜の前にはきな臭いにおいがする」「雨風が加わると危ない」などである。木曽地方だけれはなく、他の地域でも「蛇抜谷」という地名が各地に見られる。