水源涵養林の意味 登山用語

水源涵養林(すいげんかんようりん)

水源涵養林とは、水源を守ることを目的として保全・管理されている森林であり、各都道府県自治体(水道局など)によって管理されている。水源涵養林は天然林と人工林と大きく2種類に分けることができる。

天然林は、長い年月をかけてその場所の気候にあった植生が適応し、自然に植生や生物などのサイクルが出来上がり、多様な生物が生息している。雨が降ると、雨水は直接地面に振り注ぐのではなく、木や葉が緩衝となって、木の幹などを伝わって地面に向かって流れていき、落ち葉や腐葉土の中を通って地中に沁み込んで行く。やがて地下水を形成し、雨が振らなくても地下に水源があるため木は枯れないのである。これが水源涵養機能と言われる。

一方、人工林はもともとあった木々を伐採して、人間の手で杉やヒノキなどの木々を植樹しているため植生が単調であり、ある程度木々が大きくなったら間伐しないと、光が地表まで差し込まないので下草などの他の植物が育つことができない。管理されていない工林はこうした他の植生が育たないので、地表が荒れたままになり、ある時雨が降ると土砂崩れなどを発生させてしまう。人工林も管理していくと、やがて天然林に近い状態まで回復し、水源涵養機能を持つと言われている。60年以上の長い年月が必要である。