スラッシュの意味 登山用語

スラッシュ

スラッシュ(英語:slush)とは、水を多く含んだ雪のことをいう。スラッシュ状態になった雪は何らかの刺激などによる全層雪崩を引き起こしやすく、融雪期の春先に見られる事が多い。

雪が位置する斜面や雪の状態により、時として大規模な雪崩を発生させ、山麓に甚大な被害を与える場合もある。たとえば、富士山で発生するスラッシュ雪崩は有名であり、春先に発生することがほとんどであるが、気象状況が揃いさえすれば、冬でも発生することがある。富士山の降雪は、日本海側を渡ってやってくる雪ではなく、太平洋側から吹きつける暖かく湿った空気がもたらすものである。

立春(2月4日)以降に著しく発達した低気圧が日本海上〜本州北側を発達させながら通過すると、太平洋からの湿った風が急速にその低気圧に吹き込み、豪雨を伴った大荒れの天気をひきおこすことになる。この時に、富士山頂では通常マイナス10度〜20度の気温が、0度近くまで急上昇することがある。この急激な温度上昇と多量の降雨が積雪上にもたらされると、水分を多く含んだ雪は重くなり、重みに耐えられなくなり落下を始める。

それがスラッシュ雪崩またはスラッシュフローとも言われている。富士山周辺では雪代(ゆきしろ)と呼ばれており、しばしば山麓の田畑や家屋を埋めてしまうほどの被害をもたらしている。