静観的登山の意味 登山用語

静観的登山

静観的登山とは、岩壁や氷壁をただ登って頂上を目指すことに集中するのではなく、より豊かな心で自然を鑑賞しようとする登山のこと。提唱者は大島亮吉と言われる。

山に登るという行為は、日本では、信仰登山という修行としての登山として1000年以上の歴史がある。江戸時代中期になると、政情が安定していたことから庶民の生活に余裕が出てくるようになり、富士講とはじめとする講中登山や、山に行くまでの物見遊山に出かけるようになった。

やがて明治時代になり、西洋からスポーツ登山としてのアルピニズム思想が入ってくると、登山スタイルは「探検登山」「スポーツ登山」「静観的登山」と3方向に分かれた。探検登山が未知の山域に出かけていくもの、スポーツ登山は今日につながる登攀、静観的登山が自然を鑑賞しながらゆったりと登るものである。

静観的登山は自然を愛でるのが目的のため、歩きやすい低山が中心になることから、一時期はアルピニズム信奉者からすると、低山登山と軽蔑されたという。ただ、今日では登山は広く普及しており、さまざまな登山スタイルが広がっている。ハイキングやトレッキングも静観的登山の一種とも言える。