静観派の意味 登山用語

静観派

静観派とは、ヨーロッパから入ってきた困難な登攀をもって登頂することを追求するアルピニズムの精神を追求する登山家に対して、叙情性や精神性に重きを置く日本の伝統的な山旅を受け継ぐ人々のことをいった。

静観派にとって山登りはただ単なる頂上をが目的だけのスポーツ登山ではなく、自然・歴史などその山がもつ背景を追求し、探求する文化的なものである。明治時代後期〜昭和初期にかけて活躍した、木暮理太郎や田辺重治は、日本山岳会に所属し、特に木暮は会長を務めながらも、静観派登山を追求した人物である。もともと日本には江戸時代後期から文人墨客による趣味的登山が、木暮理太郎・田部重治に見出され、大島亮吉の静観的登山と、霧の旅会の静観派という二つの流れを生み出したと言われている。

田部重治による『日本アルプスと秩父巡礼』という著書は、登山の一般大衆化を促すきっかけになっている。田部は誰でも容易に登ることができる低山登山の基礎を作った人物でもある。