線状凹地の意味 登山用語

線状凹地(せんじょうおうち)

線状凹地とは、二重線(山地・丘陵などの稜線が二重に並行している)の間にある凹地のことをいう。この凹地が発達して凹みが深くなっていくと、二重山稜が形成され、全体的に山稜がゆるやかになっていく。これは地形変化の一種であり、岩盤がずれることによる山体重力変形によって、線状凹地が発達すると考えられている。

山体重力変形とは褶曲や断層などの地層が応力によって動くことで、地震も誘発原因の一つである。線状凹地直下の山腹斜面は崩壊していることが多いことから、大規模な山体崩壊の前兆とも言われている。線上凹地は、堆積岩あるいや花崗岩地質の山体に多いことが分かっており、高山によく見られる。南アルプスの間の岳、赤石岳なども線上凹地がある。

南アルプスの線上凹地は、山体の急速な隆起と山腹斜面の急速な浸食、加えて異方性の強い堆積岩分布地域などの条件が重なって形成されたものと考えられる。異方性とは、物質がもつ弾性や屈折率などが方向によって異なること、である。