吊尾根の意味 登山用語

吊尾根(つりおね)

吊尾根とは、二つの山頂を結んでいる尾根で、その尾根上の低くなっている部分が吊り橋のようにアーチの形をしている様子をいう。前穂高岳〜奥穂高岳の吊尾根や、鹿島槍ヶ岳の南峰〜北峰の吊尾根が有名である。

前穂高岳〜奥穂高岳の吊尾根は紀美子平から始まり、最低コルを通過し、この吊尾根の核心部である岩場(鎖が設置されている)を越え、奥穂高岳山頂へ向かう。登山道が上高地側の山腹に設定されており、高度間もそれほどなく、登山道の幅も広く、切り立っているような場所ではないので、初心者でも通過できる。

途中の鎖場は傾斜40度程度なので、それほど難しくない。鹿島槍ヶ岳は南峰と北峰によって形成されている双耳峰である、その中間にあるなだらかな稜線が吊尾根である。日本百名山を選定した深田久弥氏による、山容を称した言葉が残されているほど、きれいなアーチ状の形をしている。「南槍と北槍の両峰がキッとせり上がっていて、その二つをつなぐ、やや傾いた吊尾根、その品がいい美しさは見あきることがない。」(深田久弥氏)