天狗倒しの意味 登山用語

天狗倒し

天狗倒しとは、天狗のしわざとされる怪異現象のこと。山中で、大木を切るような音が聞こえ、つづいて地響きと共に大樹の倒れる音がし、その音がした方向へ行っても、木が切られた痕跡がないというものである。

日本全国の山どこでも聞かれたという伝承がある。地域によっては空木返し(そらきがえし)や空木倒し(からきだおし)ともいうことがあり、天狗のしわざとも、狐や狸のしわざとも言われている。このことを民俗学者の桜井徳太郎は、人里を離れた山中を歩くという不安な心理からこういう怪奇現象の伝承が生まれたもの、と推測している。なお、「突風が吹いたような轟音」も天狗倒しの1つとされている。

現在ではこの現象は、遠くから風によって運ばれてきた音だとか、大地震の前触れだとか、地域によっては冬に多かったということから季節風によるもの、風の通り道、など色々な説がある。日本だけではなく世界中でもこの現象はあるようで、このような音が聞こえたあとに、規模の大きい地震が発生している、とも言われている。いずれにしてもまだ原因が解明されていないのである。