ムガーの意味 登山用語

ムガー

ムガーとは、鋲底靴(ナーゲル)が主流だった時代に、滑り止めとして鉄鋲を靴底に打っていたものの一つである。ムガーの他に、クリンカーやトリコニーと呼ばれる鋲があり、縦走や岩登りなどの目的に合わせて打ち分けていた。

鋲の配置には人それぞれのパターンがあったという。また、山行に備えて鋲を研いでいたという。鋲底靴は重くて鋲が抜けやすく、また雪の上では冷えやすく、また滑り止めのはずなのに滑りやすいという欠点があった。鋲は鉄製だったため、岩の上などを歩くとカチっという固い音がするうえ、火花が出たという。

やがてイタリアでビッターレ・ブラマーニによってゴム底のビブラムソールが開発され、1954年のイタリア隊のK2登頂に登山靴にビブラムソールが使われていたことが知られると、一気に登山靴はビブラムソールにとって変わった。ただ、鋲底靴の時代に鋲の配置パターンは完成されていたため、ビブラムソールの底の滑り止めパターンや模様は鋲底靴と同じであった。さすがに最新のものでは最新のテクノロジーが詰め込まれているので、パターンも変化している。