岩小屋の意味 登山用語

岩小屋

岩小屋とは、自然にできた天然の岩穴あるいは洞窟のこと。山岳開拓の黎明期には、この洞窟を小屋代わりに使用していたという。横尾、涸沢には岩小屋があったが、風化あるいは地震などの自然現象の影響で崩落してしまい、現在は跡を残すのみである。北アルプスの槍ヶ岳にある坊主岩小屋(播隆窟)は現在も残っている岩小屋であり、播隆上人が4回目の登山のときはこの岩小屋に籠って念仏を唱えるなど53日間修行を行ったという。

播隆上人は槍ヶ岳開山の祖とも言われ、2回目の登山で登頂し、その後も3回登山し、登山道の整備を行い、信者が登山できるようにし、鉄鎖も設置している。槍ヶ岳が播隆上人によって開山されたのは1828年のことだという。また、近代登山の牽引の1人でもある、大島亮吉の遺作『山』の中に「涸沢の岩小屋のある夜のこと」に、涸沢の岩小屋が出てきている。大島ら4人の仲間たちはここをキャンプ地として拠点にしていたという。大島は慶応大学山岳部に属し、アルプスの登攀する傍ら、登山に関する外国の文献を紹介した人物である。