労働者・使用者ってどういう人のこと?

労働者・使用者ってどういう人のこと?

労働関係の法律には、頻繁に「労働者」「使用者」という言葉が使われています。

「そりゃあ、労働関係の法律だもん、労働者が出てこないはずないじゃん!」と、思われるかもしれませんが、では、「労働者」ってどんな人の事でしょうか?

「働く人の事でしょ?」と、答えたら、これだけでは不正解です。
労働関連の法律でいう「労働者」の意味は、もっと狭いのです。

法律で使われている言葉は、その対象になる人をとても細かく定義しています。これは、「この法律が関係あるのは、この条件に当てはまる人だけですよ」ということを、はっきりさせておく必要があるからです。どんな法律でも、かならず、対象者についての定義を、条文の割と最初の方に書いています。

さて、労働関連法でいう労働者とは?

労働基準法によると、「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。(第9条)」という規定がされています。
どんな種類の仕事についていても、事業所または、事務所で「使われている人」そして「賃金を貰っている人」は労働者です。
賃金とは、平たく言うと給料やボーナス(賞与)などのことを指します。

つまり、「働いていても、貰っているのが賃金ではない人」は、労働基準法上の「労働者」ではありません。例えば大工の親方、漁師さん、牧場や果樹園を経営している農家の方、レストランや喫茶店のオーナーは、労働基準法上の労働者には当てはまりません。

反対にパートやアルバイトは、法律上は労働者になります。

派遣はどうでしょうか?こちらは、労働者には違いありませんが、労働基準法の規定には当てはまりません。そのため、派遣労働者には、そのための法律が新たに制定されて、「派遣労働者」という別枠の労働者として扱われています。

対する使用者とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者(第10条)」とされています。

人を一人でも雇って使っていれば使用者に該当します。農林水産業などで、忙しい時期だけ人を雇い入れる場合は、人を雇っている時だけ、使用者に当てはまります。