労働者・使用者の義務

労働者・使用者の義務

「働いてください。」「働きます。」という雇主、労働者間の契約を、雇用契約とか、労働契約と呼びます。これは、雇主と労働者の両方が相互に義務と責任を負うという契約であり、「両方が義務を負う」という意味で法律上は、「双務契約」と呼ばれる契約になります。

労働者の義務とは、「労務の提供」です。こういう言い方をするとナンノコッチャ?となってしまいますね。簡単な言い方をすると「雇主の指示のもとで仕事をする」ということです。

対する雇主の義務は、「労働の対価として賃金を払うこと」と労働基準法では定められています。つまり、「働いた分に対して、賃金(給料、賞与など)を支払う」ということです。

立場を変えて言うと、「雇い主は、労働者から労務を提供してもらう権利を持つ」「労働者は雇主から賃金を受け取る権利がある」と言い換えることができます。労働契約の上で、雇主と労働者の立場は対等であり、お互いの義務を果たさなければ、お互いの権利も主張できません。

とはいえ、現実的には経済力がある雇主の方が実質的には強い影響力を持っています。そして、「義務があるから」といって一方的に労働者に無理難題を押し付けることが無いように「労働契約法」という法律で細かい規定を決めています。

雇い入れの時は、労働条件をはっきりと説明しなくてはなりません(労働条件の明示)。働いている人全員が、労働条件について理解できるように、就業規則の掲示も義務付けられています。

雇主は、労働によって、労働者の身体、生命の健康や安全を脅かすことのないように、配慮する(安全配慮義務)ことや、一定以上の人数を雇う場合は、雇用保険(失業保険)、社会保険に加入することも義務付けられています。また、税法上は給料の支払いについても源泉徴収を行うことも義務付けられています。

労働者の方も、労務の提供に当たって、就業規則にのっとって命じられる業務命令は拒否してはならないという義務があります。代表的なものが、就業規則に違反しない残業や出張、配置転換などです。また、労働者自身も、業務の遂行に支障が起きないように自身の健康や安全に気を配ることも求められています。