労働基準法違反の主な罰則

労働基準法違反の主な罰則

労働基準法は「労働者の保護を目的として制定された法律」という表現をされることがあります。これは、労働基準法が、雇主よりも立場の弱い労働者を守ることに重点を置かれ、「雇主によって労働者の人権、身体、生命が侵害されることを防ぐ」ことが大きな目的とされているからです。

そのため、労働基準法には、刑法のように強行法規が定められていて、違反した場合は、雇主には罰則が適用される決まりになっています。強行法規というのは、「違反したら、言い訳は一切聞きません」ということ。他の法律でいえば刑法がこの強行法規の代表です。例えば、労働基準法について良く知らずに、全く気付かないまま、悪意もなく違反したとしても、違反は違反であり、どんな理由があったとしても処罰の対象にされてしまうのです。その意味で、労働基準法は雇主にとって、よく理解して、厳守しないと大変なことになってしまう法律である、ともいえます。

そう言われても、「処罰って言ったって、スピード違反より軽いもんなら、別にかまわないよ。罰金何万かで済むなら安いものだから。」なんて意見も聞こえてきそうですね。

実は、労働基準法違反の処罰は、刑事罰に匹敵するほど重いことで知られています。代表的なものを上げると、

均等待遇、男女同一賃金の原則、前借金相殺労働、賠償予定、強制貯金、解雇予告、法定労働時間を超える労働、休憩、休暇、休日に関する規定、妊産婦や年少者に関する労働規定、妊産婦の休業、解雇の制限や労働基準監督署に申告したことへの不当な取り扱いの制限に違反した場合、「6か月以下の懲役、または30万以下の罰金」

となっています。これだけでも決して甘く考えていてよいものではないのですが、更に、

中間搾取、児童労働(15歳の3月31日以前の児童を使ってはならない)、18歳未満の男性・女性の坑内労働、これらの禁止事項に違反すると、「1年以下の懲役、または50万円以下の罰金」

そして、最も重い、「強制労働の禁止」に違反すると、「1年以上10年以下の懲役、または300万円以下の罰金」と、非常に厳しいものになります。