労働基準法違反を取り締まる労働基準監督署

労働基準法違反を取り締まる労働基準監督署

労働基準監督署は、労働者が違法不法な労働で不利益を被ったり、身体、生命、人権に被害を受けることのないよう、指導、監督を行うための機関です。各都道府県に1か所以上設置されていて、厚生労働省の第一線機関として実際の労働問題の処理を行っています。略して「労基署」などと呼ぶこともあります。

労働基準局の仕事は、大きく分けて4つあります。

@方面(監督)…労働問題の相談対応、監督指導、労働基準法関連の書類申請の受付
A安全衛生…機械、設備の設置に関する届け出の審査、職場の安全や労働者の健康に関する技術指導
B労災…仕事中に発生した事故による労働者の怪我、仕事が原因で起こった労働者の病気に関する労災保険の業務
C業務…大きな労働基準監督署のみに設置されている。会計処理を専門に行う。

実際の労働基準監督署内の組織は、各監督署の規模によって違い、2つの業務を兼任している場合もあるようです。

中でも一番中心的な業務として重要なのが、@の監督業務でしょう。労働基準監督署は、俗に「労働者の警察署」などとも呼ばれています。なぜ、警察と比較されることが多いのか?というと、労度基準監督署は、警察と同じく「捜査権」を持っているからです。

労働基準監督署は、労働者からの訴えによる必要に応じて、あるいは定期的に、各雇主の事業場(会社など)に立ち入って実情を捜査することができる権限を持っています。

違反の可能性があると、最初は事業主が労働基準監督署からの呼び出しを受けます。これに応じなかった場合や、出頭しても改善が行われていない場合「臨検監督」が行われることになります。俗に、「ガサ入れ」などと呼ばれているのはこれのことです。臨検監督は抜き打ちで行われ、機械、設備、帳簿、タイムカードなどを調べられます。違反が発見されれば、是正指導がされるのです。危険度の高い機器や業務についてはその場で行政指導が行われることもあります。

もし、事業主が違反を繰り返して、何度指導されても改善を行わなければ、重大・悪質な事業主として、より、厳しい処罰が待っています。「労働基準法違反事件」として、取り調べ、任意捜査、差し押さえや逮捕などの強行手段や、検察庁への送検が行われることになります。もちろん、事業主もこんなことになっては大変ですから、多くの場合、指導が入った段階で改善が行われているようです。また、労働基準監督署に訴え出たことを理由に、労働者を解雇したり、不当に扱うことも法律で禁じられています。

これだけ強い権限を持っているので、労働基準監督署へ相談や訴えをする場合は、警察に告訴状を出すくらいの証拠がそろった状態である必要があります。