完全歩合制の会社でも残業代を払わないのは違法

完全歩合制の会社でも残業代を払わないのは違法

完全歩合制というのは、給料の支払い方のひとつです。

歩合制とは、成果物の完成や、顧客との契約獲得などの一定条件に対して、「1件につき、〇%」とか「1件につき〇万円」という形で賃金を支給する方式のことです。完全歩合制は、働いて得る賃金のすべてが、この歩合制によって算出されるものをいいます。

月々の収入額が安定しづらいという難点はありますが、労働者が努力して実力をつけ、より多くの成果を上げることで、収入が大幅にUPする利点もあります。労働者の達成感、到達感が分かりやすく感じられることから、「労働者のモチベーション維持にも役立つ」として導入している会社もあります。比較的限られた分野の業種での運用が多いことと、業務委託契約による請負型の報酬制度と混同されやすいので、違法と誤解される向きもあるようですが、完全歩合制そのものは違法ではありません。

仕事によって、業種によって給料の計算方法は違うものです。時給や日給のほか、成果物や業績によって報奨金制度を導入しているところもあれば、営業職で歩合制というところもあります。それぞれに適切な導入と計算方法を行っていればよく、「完全歩合制で、よそと違うから違法」といういい方はできません。

例えば、「完全歩合制だから、残業代は払わない」ということになると、違法になります。

完全歩合制であれ、時給月給制であれ、労働者はその成果を得るために働いていることに違いはありません。そして、労働基準法は「給料の計算方法や払い方が違う場合は、時間外労働の賃金をカットしてよい」という特例は設けていません。働いたら、その時間に応じて労働の対価として賃金を支払う、という賃金全額支給の原則は完全歩合制にも適用されています。従って、完全歩合制の労働者でも、1日8時間を超えて労働をした場合は、時間外労働手当を請求することができる、ということになります。