妊娠中や出産後1年以内は残業命令を拒否できる

妊娠中や出産後1年以内は残業命令を拒否できる

働くお母さん、結婚しても仕事を続ける女性が増えている近年、「妊娠、出産を控えた女性の働き方」は職場側でも配慮が必要なポイントです。その一方で、男女雇用機会均等法以降、女性も管理職として活躍する場が増加し、男性同様に職場での責任も求められる時代になってきています。猫の手も借りたいような忙しい時期は、性別も、既婚・未婚の関係もなく、一斉に残業を頼みたくなる場面だってあることでしょう。

さて、そんな時「妊娠中なので、残業できません。」なんて言ってくる女子社員がいたら?

一昔前なら、労働基準法には母性保護規定があっても、「これだから女は使えない」とか「あなたね、仕事を続けたいと思うんなら、会社の忙しくない時期に妊娠するように調整しなさいよ。」と嫌みの一つも言われたものでした。しかし、現在はこういう発言はナンセンスであり、度重なるとパワハラという認識になる場合もあります。

労働基準法64条には、妊産婦の就労に関して規定がされています。妊産婦本人が請求した場合は、雇主は、時間外労働(残業)、休日出勤、深夜勤務をさせてはならない、と、明記されているんです。これは、本人が請求することが基本なので、何も言わないと「妊娠したから」「産後だから」という理由だけで、自動的には残業パス、というわけにはいきません。

妊娠中の健康状態や、経過には個人差がおおきいですし、更に妊婦さんである労働者の勤務状況や形態は、それぞれの事業所や業種でも異なります。そのため、法律では「〇日休みを与えなさい」という具体的日数を定めてはありません。妊婦さんの体調と、お腹の赤ちゃんの具合で変わる、というところでしょう。

妊娠初期は、母体の疲労やストレスが流産の引き金になる危険もあります。妊娠後期には体重増加により、疲れがたまりやすくなりますし、早産が起こらないよう十分な休息をとる必要があります。おなかの赤ちゃんの健康と安全のために、制度を上手に利用することも、ママの責任の一つですね。