年次有給休暇を買い上げるのは違法?

年次有給休暇を買い上げるのは違法?

有給休暇も取りはぐれてしまって貯まったまま、期限が迫ってくると「もったいないよな〜」と思いますよね。有給には発生から2年以内に取得しないといけない、という決まりがあります。消費しきれなかった場合、期限を過ぎてしまった分の日数は、時効ということで消失してしまいます。「期限内に取らなかったんだから、要らないってことね。」と判断されてしまうんですね。

「せっかくの有給、使わないのはもったいないし、その分を買い上げて換金してくれないかな〜。」と考える方もいらっしゃるようです。

果たして、使わなかった年次有休休暇は、買い上げができるのでしょうか?

残念ながら、有給休暇を買い上げて現金に換える、ということはできません。なぜなら、労働者の申告に応じて有給休暇を与えるのは、雇主(会社)の義務の一つだからです。

「休んでも給料が出る」と考えると、なにかのクーポンのようなイメージがある有給休暇ですが、法律上の取り扱いとしては、「仕事に出なければいけない日に、働くことを免除する」というのが正しい有給休暇の意味になります。労働者側からみると、有休休暇の取得は権利ですが、雇主の方にしたら、労働者の安全や健康に対する義務として、しなくてはならないと定められています。

従って、仮に労働者の方から「もったいないから有給休暇を買い上げて欲しい。」と要望されて、買い上げに応じたとしても、これでは、雇主のほうは休暇を与える義務を果たしたことにはなりません。有休は「仕事を休んでも減収にならない」ということに意味があるのであって、休みを与えることの方が重要な意義を持っているとも言えます。

しかし、有給休暇をいつ取るか?ということについては、雇主は労働者に対してその時季を指定する権限はありません。有給休暇の取得については、原則的に労働者側の自主的な申し出が尊重されています。雇主側にしてみたら、申し出てくれればあげるんだから、取ってくださいね、というところです。

貯めておいても、利点が少ないのが有給休暇である、とも言えます。新婚旅行に使うなどの有効利用が決まっていないのであれば、少しづつ消化していくほうが理にかなっていると言えそうです。