退職時に残りの有給休暇をまとめて取っても大丈夫?

退職時に残りの有給休暇をまとめて取っても大丈夫?

そろそろ退職が近づいてきた。気が付いたら、未消化の年次有給休暇がたまってる。早めに仕事から離れたいから、この際、まとめて全部消化しちゃえ!ということで

「これまでにたまってる有給、全部使います!」と請求したら、会社は

「そんなに、いっぺんに休まれたら困る!仕事が滞るじゃないか!こっちには有給の時季変更権があるから、そんなことは認められない!」と拒否できるでしょうか?

確かに、退職間際と言っても、まだ社員です。長期間ずっと休まれたまま退職となると、仕事にも支障が出るかもしれません。ここは、会社側としては時季変更権を使ってでも、長期間まとめて有給消化は避けたい、と考えるところだと思います。

原則として、雇主(会社)は、労働者から有給取得の申し出があった場合、これを拒否することは法律で禁じられています。理由が何であっても、「有給取ります」と言われたら、それを阻止することは、雇主にはできないことになっているんです。例外的に「別の日にしてくれないか?」と頼むことだけはできるといるルールになっています。これが、時季変更権といわれるものです。

ところが、、退職間際の場合は、仮に有給の時季変更を申し入れても、もう、変更するべき勤務期間がありません。有給休暇は、退職後の期間に与えることもできません。従って、この場合は、労働者の希望するままに、有給を与えるしかない、ということになります。

人によっては、1か月丸々、有給休暇といったことも起こり得る訳ですから、会社にしてみれば心情的に面白くはないでしょうが、法律上の規定ではそのようになってしまうのです。また、いくら退職する会社とはいっても、あまり好ましい方法とは言えません。

このような事態を避けるためには、会社側は有給の計画付与も利用して、働いている社員一人一人の有給が、適度に消化されていくような工夫をしていくことも必要です。