どんなに小さな会社でも年次有給休暇は取得できる

どんなに小さな会社でも年次有給休暇は取得できる

どうしても仕事を休む必要があるから、と、年次有給休暇を請求したら「ウチの会社は、全員で6人、こんな小さい事業所で、有給なんてモノはないよ。」と断られ、欠勤になってしまった。こんな事例は、果たして労働関連法に照らし合わせて合法なのでしょうか?

まず、労働基準法では、有給休暇について、事業規模の制限を設けていません。

労働基準法で定められている条件は最低限のもので、これを下回る条件は認められません。こういう決まりを強行法規といい、いかなる理由があっても、必ず守らなければ違法になります。ですから、事業所の規模や社員の人数に関係なく、必ず、有給休暇は与えなくてはいけないということになります。もし、事業所規模や従業員の人数が少ない事を理由に、有給休暇を拒絶するようなことがあれば、それは労働基準法39条に反して違法です。雇い入れから6カ月を経過し、その期間中の8割を勤務している労働者には、有給休暇が発生します。労働者から請求があった場合は、基本的に応じなければなりません。

ただし、事業主側にも、あまりに忙しく業務に差し障りがあることが考えられるようなときには、有給休暇の時季を変更するように求めることは認められています。また、お盆や年末年始などの、日本の慣例的にどこの会社も一斉に休暇を取るような時期に、年次有給休暇を充てて、事業所単位で休みを取ることは「年次有給休暇の計画的付与」として認められています。本来、有給休暇は1日単位で与えるのが原則ではありますが、平成22年4月1日から、法改正によって、「時間的付与」という、時間単位で有給休暇を付与することができる制度も登場しています。これは、労働協約が無い場合でも、雇主、労働者の両者に合意があれば、半日単位での利用も可能となっています。有給休暇には期限があり2年を経過したものは、請求権が消失します。つまり、使えません。有給は貯めておくより、適度に消化する方が望ましいものです。

事業所規模を理由に与えないということは、強行規定にも反しています。雇主側があくまでも有給付与を拒む場合は、労働基準監督署に相談して、対応を求める必要があるでしょう。