休憩時間は全社員いっせいに与えるのが原則

休憩時間は全社員いっせいに与えるのが原則

労働基準法では、休憩時間の与え方について「全員一斉に与えること」と「休憩時間の使い方は労働者の自由に任せること」を二大原則として定めています。

例えば、仕事の遅い人物が居るから、といって、懲罰的に一人だけ休憩時間を与えない、なんてことはNGです。仕事の出来不出来については、他の方法で対処するべきで、休憩時間を一人だけ失くす理由にはなりません。同じく、仕事が遅いからと言って、一人だけ休憩時間中に遅れを取り戻すべく作業させることも禁止されています。

なぜなら、休憩時間は、労働者の健康や労働意欲を維持するための決まりであって、休憩を与えることは雇主側の安全配慮義務の一部だからです。

ところで、原則は一斉に与えなくてはならない休憩ですが、生理現象などで「ちょっとお手洗いに」という場面は誰にでも起こります。それそのものは仕方のないことですが、あまり、てんでんばらばらに、トイレで席を外されたり、人によっては、ちょっと一服なんて理由で持ち場を離れてしまうと、職場全体の仕事が上手く回らない場合があります。また不心得な社員が、トイレ休憩で20分も消費されると、職場全体には非常に迷惑になります。

たかがトイレタイムでも、流れ作業の工場などだと、一人が持ち場を離れてしまったばかりに生産ライン全体がストップしてしまうような場合だって起こります。これを避ける目的で、労使の間で協議を行い、合意が得られたときは、休憩時間の一部をトイレタイムとして、交代で5分間づつ取らせるといった方策を行うことは認められています。

例として8時間労働の工場の場合、基準である最低45分の休憩を昼休みなどで確保した上で、その一部である5分間を、作業中にトイレ休憩として、各人が交代で利用するという形で使うという方式です。

これは合法な方法ですが、反対に休憩を与えず、トイレに入った時間を時給換算して時給から差し引くような方法は違法となり、認められていません。