電話当番などの手待ち時間は休憩時間に含まれるの?

電話当番などの手待ち時間は休憩時間に含まれるの?

業種が違えば仕事の内容は変わります。また、同じ業種でも職場が違えばルールも違うものです。同じような仕事をしていても、雇主の方針や会社の業務形態の違いで、実際の働き方は、事業所の数だけ違いがある、といっても過言ではありません。特に、最近の傾向で顧客に対する対応は迅速であればあるほど、良い、と見られる風潮があります。

また、女性も男性同様、結婚、出産を経ても職場復帰する人が増え続けている時代です。一昔前であれば昼食後、のんびりと過ごす慣習だった昼休みも、細々とした用事や、自分の家の事務処理などに追われる人も多いようです。こうしたニーズに応えて、事業所も顧客サービスのために、自社の就業規則上の休憩時間といっても、顧客の対応を必要とされる場面は避けられません。

そんな中、本来の昼休みなどの休憩時間の時間中に、顧客対応のために電話番を交代でさせる、というシステムを導入している会社もあるようです。

電話番といっても、毎日じゃなく、かかって来なければ何もしなくていいわけですし、ただ、電話が取れる場所に座って、かかってきた場合は対応できるようにしていればいいだけ、本来は休憩時間だから、雑誌を読むとか、好きな事はしていてもいい、という状況なら、これは問題ないんじゃないか?という考えなのでしょう。

しかし、労働基準法に照らし合わせてみた場合、この方式にははっきりとした問題点があることがわかります。

まず、「休憩」と呼ばれている時間は、一切の労働から離れている状態でなければ「休憩」と呼べません。たとえ、交代制で週に1回とか、月1回であっても、その時に電話がかかってこなかったとしても、「業務のために手待ちをしている」という状態は、労働しているとみなされます。ですから、会社は、電話番をしたことで潰されてしまった分の休憩時間を他の時に与えなくてはならないということになります。

もう一点の問題は、1日の労働時間の上限との関係です。休憩時間は労働時間に応じて、6時間から8時間までの労働の場合、45分、8時間以上の労働の場合は1時間、と決められています。1日8時間、週40時間労働をしていて、更に手待ち時間で休憩が潰されてしまった場合は、1日8時間の原則を超えた労働になってしまうのです。オーバーした分については、残業という扱いになります。

このような手待ち時間の規定については、「休憩時間か、業務なのか?」で、しばしば問題になります。業務としてはどうしても電話番が必要という状況であれば、手待ち時間の分の休憩を他のところで取ってもらうしかありません。休憩の時間の延長や、分割でとることは禁止されていませんから、電話番が終わってから、とか、始める前に、30分ずつ取得したり、1時間退社を早めるなどの対応が必要になります。