業務多忙を理由に休憩を与えないのは労働基準法違反

業務多忙を理由に休憩を与えないのは労働基準法違反

多くの事業所には、業界の繁忙期というものが存在するようです。業界ごとに時季は違っても、1年のうちに、1度以上は「猫の手も借りたい!」という時期というものがあるでしょう。近年は、人件費削減の視点から少数精鋭型の事業所運営を目指す会社も多く、そのため人員にゆとりがない事業所も多いのかもしれません。

そんな職場の繁忙期、「今日は、納品が立て続けだから、休憩時間はナシ!ぶっ通しで作業になるぞ!!」なんて上役の掛け声が響き渡ったら…これって大丈夫なのでしょうか?

結論からいうと、どんなに忙しい時期であれ、「休憩時間を与えない」は、それだけでNGです。勤務時間が6時間未満の場合はさておき、6時間を超えて8時間未満の勤務ならば45分、8時間以上の勤務であれば、1時間の休憩時間は最低限確保しなくてはならない、というのが原則です。理由のいかんを問わず、「与えなければ違法」ですから、「業務多忙」は言い訳になりません。

同様に「忙しいから、休憩を短くする」でもNGです。前述のように、休憩時間の最低基準は、労働時間に応じて決められています。ですから、この最低基準をクリアできない休憩の与え方をするのは、これも、労働基準法に違反していることになります。

では、「午後イチの納品に間に合わせるため、昼休みを今日だけ30分ずらしてくれ」とか、「繁忙期は、昼の休憩を40分にする代わり、午後3時に30分の小休止を入れる」という形はどうでしょうか?

これらは、雇主側の一方的な通達ではNGになりますが、労働者の代表や労働組合との話し合いで、合意ができていれば可能です。最低時間を守っていて、かつ、全員が業務から離れて休憩できれば、時間をずらすことや、分割して与えることは違法ではありません。