朝は暇だから始業時間と同時に休憩を与えても違法じゃない?

朝は暇だから始業時間と同時に休憩を与えても違法じゃない?

事務所をあけたばかりの朝一番の時間帯は、顧客からの問い合わせがあるわけではないし、ぶっちゃけ暇。反対に午後は仕事が殺到して、昼休みの時間帯にも、電話がガンガン入ってくる。仕事の効率って面で考えたら、イマイチ良くないから、朝、出社と同時に休憩を取らせよう!と、突然、社長が決めて、労働者諸君に通達、と相成りました。言われた社員の皆さんも、これに賛同したら、「出社と同時に休憩」は成り立つでしょうか?

残念ながら、仮に一人も反対する人がいなかったとしても、この提案は認められません。労働基準法34条では、休憩について「労働時間の途中に与えなければならない」と決めているためです。始業開始と同時に休憩、というスタイルでは、「途中」という規定に合致していませんから、法律違反になってしまいます。

また、休憩は労働から完全に解放されるべき時間として定義されています。始業と同時に休憩を取るようにした場合、始業時間を1時間ずらして、休憩なしで7時間労働を行った、とみなされ、どちらにして労働基準法に照らして合法という判断は難しくなります。休憩時間中の社屋外への自由な外出を制限するような制度があったりしたら、「手待ち時間」と判断されて、実質的な拘束時間であり、休憩なしの連続労働と判断されてしまうでしょう。

最近、このような休憩時間に関する問題が非常に多いのが、いわゆる「ブラック企業」といわれるタイプの企業です。変形労働時間制と長い休憩時間、所定外労働時間(早出、残業、休日出勤、臨時呼び出しなど)を巧みに織り交ぜて、違法な連続勤務になっているのに、労働者本人が気づかないまま、違法労働となっている場合があります。

名ばかり休憩時間といって、名目上は休憩時間を定めてはあるものの、全く休める雰囲気がなく、暗黙の圧力で働かざるを得なくなっている状況を「労働者が自主的に働いている」として、労働時間に入れず、無給扱いになるケースも続出しています。休憩は、適切な運用がされていない場合、労働時間として賃金支払いの対象になる場合があることも知っておきましょう。