出張の往復移動時間は労働時間になる?

出張の往復移動時間は労働時間になる?

サラリーマンをしていると、ときどき現れるのが「出張」です。公共交通機関を利用する場合もあれば、社用車を自ら運転しての移動という場合もあるでしょう。いずれにしても、いつもの通勤よりは長い時間を取られて、移動だけでもかなり疲れるものですね。個人的な旅行と違って、仕事での出張は緊張もするものです。

そんな出張中の往復移動時間は、「労働時間」なのでしょうか?

基本的には、大部分の出張は、その移動方法に関わりなく、「労働時間とはみなされない」という判断がされることが多いと言われます。なぜなら、労働時間は、「管理者の指揮命令の下で働いている時間」であるという解釈がされることによります。仕事のための移動とは言っても、電車や飛行機、バスに乗っている間は、暇つぶしに新聞や雑誌を読んでみたり、携帯ゲームをしたり、スマホやタブレットをいじってみたり、海外出張の場合は、映画を見たり、寝ていたり、と、指揮命令があるという訳ではないことがほとんどでしょうから、これは、単なる移動時間とされて、労働時間とはみなされないというわけです。所定の場所までの移動時間と言っても、その内実は、労働者が自由に使うことができているとすれば、労働をしているという判断は難しくなります。

ただし、出張がいわゆる手待ち時間を兼ねているものであったり、移動自体が物品輸送のような「業務性を帯びたもの」である時は、「業務の一環としての移動」という判断となり、労働時間にみなされます。例えば、交代で車を運転して輸送を行う時に、交代のため、助手席に座っている場合は、手待ち時間として労働時間にカウントされます。商品の輸送のために社用車や公共交通機関で出張を命じられた場合は、「商品の輸送」という業務命令を遂行するための出張ですから、移動時間までが、業務遂行中という判断になるわけですね。

実際の出張の実態はケースバイケースであって、一概に判断することは難しい面があります。厳密には実態に則して、個々の事例を丁寧に見て判断がされることになります。