事業場外での労働は常にみなし制が使えるわけではない

事業場外での労働は常にみなし制が使えるわけではない

みなし労働制は、営業職や新聞記者など、社屋の外で働いている時間が多い仕事に適用されている賃金計算方法です。実際の労働時間の長短を問わず、あらかじめ決めた時間を働いたものとみなして計上する、という方法は、直行、直帰の多い営業さんや、朝晩問わず、取材とあらば現地に飛んで行かなくてはならない新聞記者の業務内容を思い浮かべると、非常に現実的で便利な対処方法と感じられます。

そんな、みなし労働時間制、裁量労働制やフレックスタイム制などと混同されやすいためか、ときどき、誤解されている向きもあります。

たとえば、労働時間の適用について。みなし労働時間制を採用している会社であっても、「なんでもかんでも、全てみなし労働時間制」というわけではありません。

営業さんや記者さんを例にとってみると、毎日直行直帰というわけではありませんね。必ず、一日のうちに何時間かは、会社に戻って報告書をまとめたり、編集デスクや同僚、上司などと相談したり、会議したりという時間があります。社外労働が多いことは、社外でしか働かないと限ったわけではありません。当然に、社内で上司や雇主の指揮下に入っている時間は、みなし労働ではなく、通常に働いた時間が記録計上されます。「みなす」必要がないのですから、当たり前ですね。

一方で、社外で働いていてもみなし労働が利用できないケースというのもあります。社外にいても、雇主(会社)側の指揮監督下にあると判断される場合です。

「社外にいても、携帯電話などで上司から随時指示を受けている」「グループで社外に出て業務を行っていて、プロジェクトリーダーなどの、管理を行う立場の人がいる」「あらかじめ会社から具体的な予定や指示を受け取っていて、その指示に従って社外で業務を行っている」などの場合は、会社や上司など、雇主側の指示を受けて動いている状態です。この場合は、会社側が指揮監督している状況となり、みなし労働時間制の適用外になります。