フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制というのは、「出勤と退勤の時間を、一定の範囲内で労働者が自由に決めて良い働き方」のことです。通常の勤務では、出退勤の時刻ははっきりと決められていて、「出勤9時、退勤5時」などとなっています。所定の時刻にオフィスに着いていなければ、遅刻となり、ペナルティーが科せらることになります。退勤時刻を過ぎれば、残業となり、残業手当の対象、といったルールが決められています。

これに対して、フレックスタイム制は出勤と退勤の時刻が決まっていません。1日の所定勤務時間のうち、「コアタイム」と呼ばれる、「必ず事業所に居なくてはならない時間」が決まっていて、その前後は幅を持たせてあります。労働者は、「早く来て、早く帰る」でも「ゆっくり出勤してきて、遅く帰る」でも、自由に自身の出勤時間、退勤時間を決めて構わないのです。休憩時間はコアタイムの中に組み入れられているので、そこで所定の時間、休憩を取ることもできます。

時差出勤と一見似て見えますが、時差出勤の場合は、出勤の時間そのものは、ずれるだけで決まっています。フレックスタイム制の場合は、労働者自身の自由裁量で出勤の時間を決めるので、極端な話、毎日違う時間に出勤してくることも可能です。出退勤の時間が自由に決められるだけで、1日の所定労働時間は決められており、必ずその時間数だけは働かなければなりません。稀に「早く来て、遅く帰る」働き方をした場合は、所定労働時間をオーバーした分残業ということになります。

フレックスタイム制の難点は、給料計算が定時出退勤の場合と比べて煩雑になるというところでしょう。日々、出退勤の時間がまちまちですから、事務処理や労務管理は複雑化するのは避けられません。また、業務遂行の面では、朝礼のように、一斉に行われるものは利用しづらくなります。

反面、子供さんがいるお母さんなどは、早く出社して、早く帰宅することもできるようになる、通院などで1日だけ遅めに出社したいときに、気兼ねなくスケジュールを組めるなど、私生活と仕事の両立をしやすくなる利点があります。特に主婦で母親である女性が働く場合は、家庭生活との兼ね合いで煩雑な用事がどうしても必要になり、昼休みがすべて家庭の用事で潰されてしまう場合や、休みを取ってでも、金融機関が開いている時間に所要を済ませる必要がある、などの事情があります。フレックスタイム制を利用できると、こうした負担は軽減されます。

業務の上でも、遠方への出張翌日はゆっくり出社するなどの融通が効く点はメリットといえます。