一方的な減給は労働基準法違反?

一方的な減給は労働基準法違反?

ある日突然、社長や上司から「来月から、あなたの給料を減らすことにしました。」と、突然の通達!理由を聞くと、「他のみんなも、同じだけ減らしたから。」とか、「あなたのプライベートでの態度が、会社の評判に良くないと思う。」とか、もっともらしい理由を説明されました。こんなとき、「仕方ない」とあきらめるしかないのでしょうか?

まず、原則的に労働基準法では、「一方的な減給の禁止」を定めています。

もし、雇主側が労働者に支払う賃金を減給する場合、そこには、「正当な理由」がなければならない、と決められています。更に、正当な理由というのも厳密な規定があり、雇主側の一方的な意見だけで減給されることがないように定められています。
具体的には、

1.就業規則の変更で労働者がどのくらいの不利益をかぶるか?
2.雇用主が変更を必要とする内容と程度
3.変更しようとする就業規則の内容が妥当なものであるか?
4.減給以外の方法で業況を回復させることができず、他の方法がないか?
5.労働組合との交渉の経緯、従業員との話し合いの結果
7.同じ業種の会社の、一般的な状況

の6つの点に照らし合わせて検討し、妥当性が認められた場合は、会社側は就業規則を変更することで減給が行えるという決まりになっています。

例えば、「減給に応じてもらえないと、会社そのものが本当につぶれてしまう。」という場合は、社員としても職場を失わないために減給に応じることにも妥当性があるということですね。この場合も、かならず段階を踏んで、かつ、労働者の生活に支障がない範囲と決められています。過去の判例からは、具体的には賃金の10%以内が目安とされます。

社員側の勤務態度等に問題があって、懲戒の目的での減給を行う場合でも、いきなり減給することはできません。この場合も合理的な理由を必要とし、更に、けん責(訓告、戒告など)を行って、改められない場合にはじめて減給に進むとしています。