管理監督者に対しても、深夜勤務手当の支払いは必要

管理監督者に対しても、深夜勤務手当の支払いは必要

残業代不払いの問題で近年、社会問題として取り上げられているのが「管理監督者に対する残業代不払い」です。

なぜ、このような問題が起こるのか?その原因は、「店長」とか「店長クラス対応」と言われているからといって、それが即、管理監督者に当てはまらないということが要因です。

管理監督者であるか、否か?の判断基準は、役職名ではなく、実際の職務、責任の範囲、勤務実態によって判断されることになります。労働基準法の基準に合わせて総合的な判断がされた結果、法律上の管理監督者とは言えない、という場合には、一般の労働者として、労働時間、時間外手当、休日出勤手当は支払う必要があります。

更に、管理監督者も深夜割増賃金、年次有給休暇の取得については一般の労働者と同様に保障されていて、特例はありません。つまり、「名ばかり」か、本当に管理監督者に当てはまるかは別として、深夜労働を行えば、割増賃金は必要になりますし、有給は同じように与えなければなりません。法律上も正しく管理監督者であったとしても、深夜22時から翌朝5時までの時間帯に労働をしたときは、深夜手当を支給しなくてはならないのです。管理職であることを理由に、深夜営業をしている店舗の店長に深夜手当を支給しなかった場合、明らかな労働基準法違反となってしまいます。

労働基準法の「管理監督者」が混同されやすい背景には、労働組合法の「監督的地位にある労働者」という言葉と誤解されやすい背景もあるようです。こちらも労働基準法でいる管理監督者とは全く違う基準で定められているため、労働基準法上の管理監督者とイコールではありません。

労働基準法上の管理監督者に当てはまるか、当てはまらないか?判断の分かれ道は、労働時間、休憩、休日の規制の枠を超えて働かざるを得ない「職務内容」「責任と権限」があり、実際の勤務も労働時間規制には合わせにくいこと、そして賃金面でもこれらの内容を背景として、地位にふさわしい厚遇をされている必要があります。