労災には業務災害と通勤災害があり、どちらも労災保険が使える

労災には業務災害と通勤災害があり、どちらも労災保険が使える

労災は、その適用区分を「業務災害」と「通勤災害」の2つに分けています。万一、労働者がこのいずれかに罹災(りさい)した場合、どちらも労災の利用ができます。

なぜ、労災の区分が分けられているのか?簡単にご説明すると、労働時間と、拘束時間という2つの区分があることに起因します。労働時間は、労働者が業務についている時間のことを指します。労働時間は労働者が使用者(雇主)の指揮管理下にある時間であり、使用者(雇主)は労働時間中の労働者の安全について配慮し、事故を起こさぬよう、労働者と事業所の管理を行う義務があります。

これに対して、通勤時間は、使用者(雇主)の指揮管理下にある時間ではありません。出勤時は始業時間に間に合えば良いのですし、帰宅に関しては、特に自宅への到着時間が定められているわけではなく、必要に応じて労働者が自由に利用することもできます。しかしながら、労働者は仕事に出向くために通勤しているのであり、ある程度労働との関連性があることが認められます。

また、日本独自の通勤に関する事情もあります。近年になって時差出勤など、様々な試みが行われていますが、日本では通勤(特に出勤)の時間帯の公共交通機関の混雑が尋常ではなく、その混雑ぶりは他国に類を見ないという事情があります。実際、ラッシュアワー時に乗り物の混雑によって、転倒、打撲骨折などの負傷するケースが少なからず発生しています。こうした事情を鑑みて、日本独自に通勤災害という概念が発足したという経緯があります。

労災保険では、一定の条件に当てはまれば、通勤災害でも、業務災害でも労災保険給付の対象になります。

労災保険は、一人でも人を雇い入れていれば、雇主には加入が義務付けられます。従って、例えたった一人の従業員であっても、通勤災害、または業務災害が発生すれば、労災の申請が可能であり、認定されれば保険金給付を受けることができるようになります。