労災保険の適用手続きをしてない会社でも保険はおりる?

労災保険の適用手続きをしてない会社でも保険はおりる?

労災保険は、雇主に加入義務があり、一人でも労働者を雇っていれば加入しなくてはなりません。保険料も大部分を雇主が負担します。

そのため、経済負担と、労働基準監督署の査察を嫌がって、労災の加入手続きを行わない雇主が非常に多いことも事実です。労災事故が発生して労働者が「労災申請がしたい」と言っても、「ウチは労災に入っていないから、利用できないよ。」だとか「労働基準監督署に査察に来られると、事業所が一時閉鎖になるから、みんなに迷惑がかかる。あなた一人の問題では済まされないから、労災申請には協力できない。」などの返事で、労災申請を思いとどまらせようとする雇主が非常に多いようです。これは、とんでもないことで、労災は加入手続きを行っていなくても、申請ができることを隠して労働者を欺く行為といわなくてはなりません。

まず、労災保険の加入義務は雇主側に加入の義務があります。もし、加入手続きを怠っていたのだったら、それは、雇主側の義務違反であって、労働者側には何の落ち度もありません。雇主が義務を怠ったことで、国の制度である労災の補償を労働者が利用できない、なんてことは許されないことですね。ですから、国は、事業者が労災加入手続きを行っていなくても、労働者から労災保険給付の請求があったときは、雇主は協力するよう義務付けられており、協力が得られなくても、労働者が単独でも申請を行うことができるようになっています。労災は、本来個人申請ですから、会社の協力は必須ではありません。

ただし、強制加入である労災の適用手続きを怠った雇主には当然のペナルティーが科せられます。過去2年分の保険料全額に加えて、保険給付による労働者への補償を全額国に弁済することになります。(設立1年以内の会社には、軽減措置があります)労働者が複数いた場合は、遡って徴収される金額も大変な額になりますから、雇主側としては労災未加入が発覚することを嫌がるわけですね。