過労死・過労自殺の認定基準

過労死・過労自殺の認定基準

過労死、過労自殺という言葉があるのは日本だけ、などと、欧米諸国からは、驚きの目とともに、やや厳しい目を向けられている日本。働きづめに働いた結果、くも膜下出血や心臓病などで倒れて、突然亡くなってしまう。あるいは、根を詰めて働きすぎた結果、うつ病などの心の病となり、治療の甲斐もなく自殺してしまう。など、「仕事のし過ぎが原因で、亡くなってしまう」という現象は日本以外の国ではあまり考えられないことのようです。

「過労死で亡くなった」「過労自殺で亡くなった」と主張する遺族と、会社側との間で訴訟まで発展し、会社側が敗訴するだけにとどまらず、代表取締役以下、役員個人にまで責任が追及されるケースもでてきています。

過労死、過労自殺として労災認定をされる基準は、厚生労働省が「過労死ライン」として通達している残業時間の目安が一つの基準となっています。1か月の残業時間が45時間を超えると要注意、80時間を超える残業を行っていて突然死亡、ないしは自殺となったケースでは、この残業時間が過労死認定の一つの基準となります。

これは、脳血管、心血管障害による突然死は、原因になるのが必ずしも過労とはらず、日常の生活習慣で、飲酒、不規則な睡眠習慣、油分の多い食事や糖分を好む食習慣など、仕事以外にも間接的な原因となりうる要素があるからです。

「仕事が大きなストレスとなるような異常事態」「1週間当たりの労働が過重である」「半年間長時間労働が継続的だった」の3点を中心に、業務の特有な事情なども含めて確認が行われます。

うつ病などの心の病は、これに加えて、「認定基準の対象となる精神障害を発病していた」「認定基準対象の精神障害が発病する前、およそ6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷があったと認められる」「業務以外に心理的要因が見当たらず、プライベートが原因とは認定できない」といった点もチェックされます。

統計資料によれば、2012年の過労死および、過労自殺で労災認定がなされた数は813人と、統計開始の1987年(昭和62年)以降最多になったそうです。増え続ける過労死を食い止めるため、厚生労働省は過労死の認定基準の見直しを行い、「過労死を防ぐための法律が必要ではないか?」という議論を呼んでいるようです。