通勤災害が認定されないケース

通勤災害が認定されないケース

通勤災害は、業務中の災害ではなく、「業務のために、本拠地(家)と事業所(会社)の往復中に起きた災害」を補償するものですから、その認定基準は、業務災害よりも細かく厳密になります。通勤災害の認定基準は、通勤の手段や距離のいかんを問わず、「本拠地(自宅、兼業先のオフィス、単身赴任先のアパート)と、事業所(会社)との往復」「合理的な経路、方法で移動中」に、起こった災害で「移動中に逸脱、中断がないこと」が認定の条件です。この3点に当てはまらない場合は、通勤災害として認められないケースがあります。

たとえば、ガールフレンドの家にたまたま泊まった翌朝、出勤中に事故に遭った場合は、通勤災害と認められない可能性が高いです。実質、結婚しているのと同様な同棲中の彼女ならOKでしょうが、その日だけ泊まったというのでは、「本拠地と事業所の往復」に当てはまらないからです。反対に「介護のため実家から」「家族の看護で病院から」はたとえ数日間の宿泊でも、通勤災害として認定されます。

また、「健康のために、歩いて会社まで移動した」ならOKでも、「一輪車で」「スケボーで」となると、多分NGでしょう。一輪車やスケボーを通勤に使用することの合理的な説明は、かなり難しいものと思われます。

中断、逸脱、というのは、通勤途上に短時間、寄り道をしたり、仕事と無関係なことでまとまった時間を費やすることを指します。とはいえ、例えば「駅のトイレを使用した」「喉が渇いて、缶ジュースを自販機で買って飲んだ」程度は生理現象に伴うやむを得ないことであり、セーフです。「ちょっと一服」も、許されます。しかし、「立ち食いそばによって夕食」はもちろん「飲み屋で合コン」なんていうのはアウトです。通勤途上の食事で認められるのは、社員食堂利用の場合のみとなっています。

女性の方だと、「託児所に子供をお迎え」なんてのがあると思います。こちらは大丈夫なのですが、「スーパーで夕食のお買いもの」になるとダメ。逸脱とみなされて通勤災害は認められません。マイカー通勤の場合は、途中の給油はOKです。

このように、通勤災害の認定は非常に判断の基準が細かいので、良く分からない場合は、社会保険労務士や労働基準監督署に確認して進める方が良いでしょう。