社長や役員は労災保険の対象にならないの?

社長や役員は労災保険の対象にならないの?

労災は、「労働者のための保険」です。ですから、言い換えると「労働者以外は適用外」ということになります。ここでいう「労働者」とは、言い換えると「雇われて働いている人」のこと。つまり、「雇っている側」の立場であれば、労災で言うところの労働者以外になってしまうので、仮に労働災害に見舞われても対象外になります。

分かりやすいいい方で言うと、「社長が仕事中に事故に遭っても、労災の利用はできません。」ということ。これは、社員を預かる立場の社長さんとしては、とっても困ることでもあり、自衛手段が必要とも言えますね。同じく、株式会社の場合だと、会社の役員になっている方は労災の加入ができません。会社の役員も経営陣に含まれるため、社長、取締役などの肩書がついている方々は、労災保険の対象外となります。

しかし、これでは、全額自己負担ということになってしまいますから、万一の時の備えが必要です。日本の企業は中小企業が非常に多く、社長さんを中心として、社員が一丸となって現場で働いているところも珍しくありません。建設業などでは、特にそういう傾向が強いという現状があります。個人事業主で一人親方、という方も少なくありません。そこで、こうした状況を踏まえ、労災保険には「特別加入」という制度を作っています。保険料も比較的リーズナブルに加入できます。

労災保険の特別加入は、労働保険事務組合に加入することを前提として、特別に経営陣、個人事業主も労災保険に加入することができるという制度です。労働保険事務組合というのは、主に、会社に労働保険に関する事務を行う知識がある人がいない場合に、その手続きを助けたり代行してくれる組織です。

経営陣ともなると、その他の生命保険などの民間の保険も当然に加入していることだと思われますが、労災は国の制度ですから、補償が受けられないという心配はありませんし、保険料も民間保険と比べたら段違いに安価というメリットがあります。