退職届と退職願の法律的な違い

退職届と退職願の法律的な違い

上司ともめた後、「辞めます!」とばかりに、白い封筒を部下がバーン!と無言で机に叩きつける!…ドラマやマンガでおなじみのこんなシーン、白封筒には何と書かれているでしょうか?
「辞表」でしょうか?「退職届」それとも、「退職願」?

これらは、どれも、「仕事を辞めます」の意思表示という意味では間違いではありませんが、個々の書類が持つ意味は少しづつ違っていることは、意外と知られていないようです。うっかり、間違えて違うものを提出することになると、大変なことになってしまいます。

まず、辞表というのは、原則的に公務員か、役員が提出するものです。一般企業のヒラ社員などの場合、辞表と書くのは、実は間違い。公務員の場合は、役職に関係なく辞表と書いても間違いではありません。一般企業にお勤めの場合は、退職届か退職願のどちらかを提出するのが正解です。

さて、この退職届と退職願、一字違うだけで大した差はないだろう、と思って適当に扱うとエライことになります。

なぜなら、提出後の扱いが退職願と退職届では違うからです。これは公的な書類としての取り扱いの違いになってきますから、その後も失業保険の取り扱いなどに響いてくることもあります。

退職願は「退職させてください」と「お願いする」書類です。従って、事情が変わったなどの理由で撤回が可能です。
退職届は「退職します」と「届出る」書類です。こちらは、退職が確定しているので、撤回はできません。

もうひとつ、違う点が「退職の理由」です。退職には労働者側の事情による「自己都合退職」と、会社側の事情による「自社都合退職」の2つがあります。

リストラで退職勧奨を受けて退職するときは、「退職願」を出すのは、本来は正しくない使い方になります。退職勧奨は自社都合退職の代表であり、労働者は辞めたくないのに辞めさせられるのですから、「退職届」が正解です。

自己都合退職と、自社都合退職では、失業保険を受けられる時期が全く違ってくるので、会社の言いなりで「退職願」を提出してしまうと、後々、労働者が非常に困ったことになります。