60歳に満たない定年制度は違法となる?

60歳に満たない定年制度は違法となる?

還暦というと、60歳、人生もひとめぐりして、早い方では、もう、お孫さんの一人や二人いるかもしれませんね。とはいえ、近年の60歳は本当に若い!おじいちゃん、おばあちゃんとお呼びするのが気の毒になるほど元気で若々しく、「まだまだ、やれるゾ!」という方も多いようです。

ところで、会社勤めの場面では、60歳で定年退職というところが結構多いようですね。大手企業の状況を見てみると、60歳で定年退職、その後65歳までは嘱託という身分で働くことができるようになっているところが多いようです。では、60歳未満を定年退職の年齢と決めている企業は?というと、おそらく、これはゼロのはず。なぜなら、日本では、法律で、「定年退職の年齢は60歳以上とする」となっていて、60歳未満での定年退職を禁じているからです。

高年齢者雇用安定法という法律では、定年の年齢を「60歳を下回ることができない」ときっぱり決めてあって、例外的に60歳未満を定年にしてよい事業は炭鉱などの坑内労働者だけとなっています。ですから、60歳未満を定年退職と定めることは、法律に反しているということになってしまうんですね。仮に、会社の就業規則、雇用契約などで、60歳未満を定年と定めていたとしても、これは、法律に反した取り決めということになりますから、無効。会社は法律に適合するよう、その労働者を60歳までは雇い続ける必要があります。もしも、このような状況で定年の年齢が60歳未満となっているようならば、会社側に申し入れをして、60歳まで雇ってもらうよう話をしてみましょう。それでも、なお、聞き入れてもらえないようであれば、管轄のハローワークの労働相談を利用して、仲立ちをしてもらうというのも一つの方法です。

さて、実際の定年退職の期日は、というと、こちらは就業規則の定めに従うことになります。多くの企業では、「誕生日の前日」としているところが多いようです。誕生日が12月31日でない限り、その年は丸1年間働くことはできないということですね。近年は、国の指導により、定年の年限を65歳に引き上げる会社も増えています。