契約期間中の退職はどんな場合でも違法?

契約期間中の退職はどんな場合でも違法?

一定の期間を定めて労働契約を結ぶ場合の働き方を「契約社員」「有期労働契約」などと呼んだりします。

有期契の場合、その期間中の途中で退職しないことが雇用の条件となります。その代りに、雇主は、雇用契約の期間が満了すれば、「雇い止め」といって、契約更新を行わないことで、解雇同様に労働者を退職させることができます。これは雇用調整などの点では、雇主側に都合が良い点ともいえるので、一般の「期間の定めを行わない契約」の場合と比べると、その分、解雇に関する要件が厳しくなっています。つまり、「契約社員は、一般社員よりも解雇しづらいということ」ですね。

では、契約社員である労働者側のほうが、契約期間中に申し出て退職することは違法に当たるのでしょうか?

これは、一概に「すべて違法である」ということはできません。自己都合でも、やむを得ない場合に限って、契約期間中でも退職が認められますし、ケースによっては、全く違法に当たらず、すぐさま辞めても問題とならない場合もあります。

「自己都合で契約期間中の退職が違法に当たらない場合」というのは、例えば、「労働者本人の、心身の障害や病気の場合」「両親、配偶者、子どもの病気や、看護、介護が必要となった場合」などです。これらはやむを得ない事情と判断されて、違法には当りません。

また、雇い入れ当初は気づかなかったものの、その後、業務内容に不審な点を認めて、詳細に調べてみたら違法性があることが判明したような場合も、労働者側には落ち度がなく、雇主側に問題があるとして退職することができます。当初の募集内容と、実際の業務がかけ離れていた場合、労働者は労働基準法15条2項に基づいて、即時に労働契約を解除することが認められています。同様に、事業主または事業所が、労働基準法違反な残業カットを始めとした違法行為を行っていた場合、パワハラ、モラハラなどの悪質な人権侵犯が行われている場合も同様です。これらのケースで契約解除を申し入れた社員に対し、嫌がらせや、継続労働の強要を行うと、刑事罰の対象になる場合もあります。