定年退職後にそのまま再雇用、残っていた年休(有給)は消滅する?

定年退職後にそのまま再雇用、残っていた年休(有給)は消滅する?

高年齢者の再就職支援や、定年の年次を引き上げる厚生労働省の指針などによって、一旦60歳で定年退職して後、同じ会社にそのまま、嘱託社員などの身分で再雇用される方が増えてきました。新たな会社へと移動するよりも、慣れた会社で継続して何年間か働けるとそれはそれで助かりますし、変動が少ない分、心身共に負担も軽くて済みそうですね。

こうした再雇用の場合、待遇と一緒にちょっと気がかりなのが、「使い残した有給休暇はどうなる?」ということではないでしょうか?一旦、定年退職を迎えて退職してから、全く違った会社に新規採用となると、その場合は、有給休暇は入社から6か月目にならないと発生しません。有給休暇の付与日数も、定年退職した年次と比べるとずっと少なくなってしまいます。

しかし、定年退職後、そのまま、継続して嘱託社員の身分で勤務を続ける場合は、実質的な雇用関係は連続していると見なされます。有給休暇の付与は、定年退職によって、名目上の労使関係が一旦途切れたという判断ではなく、実体に則して行われるため、「労働契約が継続している」と判断されることになり、使い残した有給休暇はそのまま引き継がれることになります。これは、定年退職者のほか、自己都合退職後に、そのまま嘱託として残る場合も、同じように勤務実態に応じて継続勤務と判断されることになっています。

もしも、実質的な継続勤務がなされている実態があるのにかかわらず、有給休暇の引き継ぎを認めず、新規雇用と同じように6カ月目まで付与しないとしたら、これは、労働基準法の39条に定める年次有給休暇の規定に反して違法ということになります。

継続した労使関係とみなされない場合もあります。いったん、退職した後、再雇用までの期間が相当ながく空いてしまっている場合です。この場合は、使い残した年次有給休暇は消滅したものとみなされます。従って、再度、会社に雇用された日から起算して6カ月目に有給が発生することになります。