名ばかり管理職には残業代を支給しなければいけない

名ばかり管理職には残業代を支給しなければいけない

ニュースや新聞を時折にぎわす「名ばかり管理職」の訴訟事件。「管理職」の名のもとに、残業はさせ放題、それなのに残業代は払ってもらえない、といった事例が非常に多いようです。管理職には残業代がつかない、というのはどうしてなのでしょうか?

労働基準法は、「管理・監督する立場にあるもの」については、残業代の対象から除く、という適用除外を定めています。管理・監督する立場にあるというのは、会社でいえば部長さん、工場だったら工場長、工事現場だったら、現場責任者などの、「直接管理職」などと呼ばれるような人のことです。

これは、こうした立場の人たちは、経営陣にかかわりが深く、一体的な業務を行う立場であるということや、給与や待遇面でも、いわゆる平社員と立場が異なり、職務、権限、責任、勤務の条件(出退勤の時間など)が優遇されているということから、平社員などの一般労働者とは業務の内容・形態が異なり、自分の判断(裁量)で、仕事をしてもいい範囲が広くなっています。給料面でも、明らかに平社員よりも優遇されているので、雇主側に近い立場としての扱いとなっているんです。

新聞紙上を賑わしている「名ばかり管理職」は、こうした管理職とは若干趣が異なります。名ばかり管理職が多数目につくのは、チェーンの小売店や、ファミレス、ファーストフードなどのチェーンの飲食店です。名前こそ「支店長」「店長」などの役職がついていて、一見すると管理職のように見えます。しかし、実際は、管理職と言えるだけの権限や裁量もなく、残業は常態化していて、一切残業代金は支払われず、基本給や手当など、管理職なら当然与えられるはずの待遇もされていない、というものです。

アルバイトやパートの採用を自分で決められない、遅刻や早退すると、その分を減給される上、出退勤時間など労働時間に関する裁量が与えられていない、賃金が、同じ仕事をする一般労働者とほとんど変わらないか、時給にすると、同じ店で働いているパートさんやバイトさんとほとんど同じ、またはそれ以下…このような状況である場合は、「管理職」とは名ばかりで、実際は「残業を払ってもらえない一般社員」です。実質一般社員並みの待遇しか与えられていないのですから、悪質な残業カットであり、会社は未払いになっている残業手当を払わなくてはなりません。